「市民自治区」とは?
地方分権が進む中、大和市が自立した自治体として存続し、大和市民が豊かに暮らすことができるよう、地方自治に取り組む必要がある、という考え方がベースにあり、そのための新しい地域自治の形が「市民自治区」だそうです。 大和市独自の地域自治のシステムとの触れ込みですが、てっきり大和市自慢の「自治基本条例」の中に明確に位置付けられているのかと思いきや、意外にも条例には「市民自治区」という言葉が一箇所も出てきません。あれれ、じゃあどこに根拠があるのが不思議に思われました。と言うのも、将来的に「市民自治区設置条例」を定める予定だと聞いたので、それなら「市民自治区」は単なるアイデアや法的な根拠のない施策ではないだろうと思われたからです。 厳密に探索してみると、やっと見つかりました。第7次大和市総合計画を策定するために、大和市が「大和市みんなが使える総合計画を考える会」を設置しましたが、その「考える会」に市民自治区構築に向けた検討を行うために「市民自治区検討会議」が設置されたのが源のようです。自治基本条例が制定されたのが平成16年10月ですが、総合計画の策定作業は平成15年度中から始まっており、「考える会」は平成15年9月に発足しています。つまり、「市民自治区」という考え方とその検討は、自治基本条例制定より先だったという訳です。それにしても、その後制定された自治基本条例にこの「市民自治区」は、さすがに位置付けられなかったんですねぇ。 それはともかく、「市民自治区検討会議」で平成16年11月に取りまとめられた「市民自治区の骨子」は、次のような内容です。
1.目的
地域自治の確立、地域社会の活性化のために、地域による公共サービスの提供、住民の自己実現の場の創出、地域意向の市政への的確な反映を行い、あわせて地域と市役所の役割分担により行政経営の効率化を図る。(さらに「地域自治の確立」につなげていく)。
2.成立要件
地域自治が可能な一定規模の広がりやまとまりを持ち、地域住民の意向を反映するための民主的な組織運営が行われていること。また、地域の公共的団体やNPO、学校などと連携していること。
3.区割り
自治会連絡協議会の理事選出区をベースとした概ね10地区(1地区あたり約2万人)とする。(参考)市内に自治会は約160、理事選出区は12ある。
4.組織形態
各分野の活動組織の代表者及び地域からの公募市民などで構成された市民自治区の意思決定機関(委員会または評議会)と、運営をコーディネートする事務局を基本として構成する予定。
5.構築方法
市民自治区の構築にあたっては、一律に全市域を網羅するのではなく、地域の自主性を尊重して、できる地域から順次構築を進める。
6.主な役割
総合計画(実施計画)に地域事業を登載するための地域計画の策定とそれに基づく事業実施、地域情報の提供、地域の話し合いの場づくりなど。
7.市民自治区のタイプ
「提案型」
地域計画に基づき、市民自治区が事業やその優先順位、実施主体を市に提案。市は提案に基づいて実施計画への登載や予算措置を行う。
「決定・執行型」
地域計画に基づき、一定枠の予算を議会の議決を経て市民自治区に配分。事業の決定、予算執行(事業実施)まですべてを市民自治区が行う。
8.今後のスケジュール
平成18年度は市民自治区のモデル地区の指定を行い、試行的に市民自治区を運営することで課題を洗い出し、制度に反映する。平成19年度中に市民自治区の制度化(条例化)を行い、平成22年度までに提案型の自民自治区を全市に広げることを目標とする。
現在、大和市では、市民自治区をつくるきっかけづくりとして、「やまと地域の底力事業」を行っています(TV番組のタイトルのようですが)。
○やまと地域の底力事業 ~地域が行う公共的な事業に対する支援
・はじめの一歩型事業
→平成18年度は8地域で実施中
対象:2つ以上の地域活動団体(対象人口は概ね1,500人以上)
・市民自治区準備型事業
→平成18年度は2地域で実施中
対象:活動目的の異なる複数の団体(対象人口は概ね1万人以上)
その底力事業を経て、次は「市民自治区モデル地区」の指定です。現在、2地区が指定を受けています。モデル地区とは、試行的に市民自治区を運営することで課題を洗い出し、制度に反映するものです。
○渋谷西地区(H18.8.1指定)
商店街の空き店舗に「市民自治区モデル地区事務所」を設置(H18.9.30)。運営は自治会や地区社会福祉協議会などから選出された運営委員で構成する運営協議会が行う。
ボランティアが常駐し、住民の困りごとを聞いたり、お年寄りの買い物やゴミ出しを手伝ったりする。地元の話題を盛り込んだ広報誌も発行する予定。事務所を住民に開放し、意見交換しながら今後の地域のあり方を考えていく。
モデル地区の指定までの取り組みとしては、平成16年度から地域の底力事業として防犯や高齢者支援、環境保全などの事業を実施。平成17年度には4回のワークショップを開催し、地域の課題やその解決のための事業、市民自治区の組織などについて話し合った。
○南林間地区(第2号)
平成16年度は地域の底力事業(はじめの一歩型)として、学童通学路安全確保(登下校時の見守り、声掛け)や防犯パトロールを実施。平成17年度は同事業(市民自治区準備型)として、女性による防災・防犯グループの設立、防災訓練、ワークショップ開催を実施。平成18年度、モデル地区指定に向けてまちづくり協議会で運営組織、事務局、運営規約等を検討したのち、10月1日にモデル地区の指定を受ける。 地域説明会の開催
このように、各地区で順次、市民自治区に向けた取組が進んでいるわけですが、いずれ全市での取り組みを実現するため、地域説明会が10月25日~11月9日に12回(各2時間)と、精力的に開催されています。このうちのひとつ、10月28日(土)午後2時から柳橋コミュニティセンターでの説明会に、市民でもないのに参加してきました(もちろん、市役所職員の方にちゃんと了解を頂きました)。
市役所からは、企画部長さんと担当課である企画政策課の課長さんほか総勢5名でした。参加者は18名でした(高齢の男性14名、中高年女性が4名)。参加した市民は特別に熱心という風にも見えず、さりとてイヤイヤ義務で出てきたという雰囲気でもなく、何となく市の説明会に参加するのは慣れているという印象を受けました。
市の説明は、部長の挨拶のあと、「渋谷西モデル地区とやまと地域の底力事業」というビデオの上映、市民自治区の説明、式次第の紙に添付したポストイットを使った「市民自治区への意見、質問」の募集という風に進みました。このポストイットを使って意見・質問を受け付ける方法は、出す側は気軽に質問や意見を出せるし、受け取った方は出された質問・意見を模造紙に貼って分類・グルーピングしながら整理することができます。なかなかグッドアイデアだと思いました。休憩の間に手際よくその整理作業を行い、後半の段取りも打ち合わせしたようで、再開後は主な意見・質問に対して、部長なり課長なり担当が分担しながら次々と答えていきました。場数を踏んでいるからか、非常に手慣れている印象を受けました。また、内容が市民と対立・衝突するものではないものの、非常にフランクで和やかな雰囲気だったことも印象深いものがありました。
紙に書いて出す形だったので、かなりの数の意見・質問に回答した割には、案外、盛り上がったという感じがしませんでした(まあ、仕方ありませんが)。従って、参加者側が納得・満足したのか不完全燃焼だったのか、イマイチつかみかねました。質問の内容は、まあ非常に平凡・ありふれたものが大方でした。そもそも論で否定的な意見とか、さっぱり分からないというような足を引っ張る意見はなかったので、既にある程度浸透しているのかな?とも思いましたが、逆に、高度な質問、意欲的な意見というのも特段出ませんでしたね。あまりに凡庸なやり取りが意外と言えば意外でした。定刻になったら、司会者が「今晩も○○地区でやりますから、聞き足りない人はそこにお越し下さい」と言って、サクッと終了しました。
そんな感じだったので、感想が書きにくいのですが、大ブームというわけではないが、静かに着実に取り組みが浸透、進展しているような感じを受けました。やはり、住民参加に関する長年の取り組みの成果として、住民の反応は「良好」と言えるのでしょう。「隠し味」的な大和市の財産だと思います。このベースがない自治体では、簡単なこと、基礎的なことからつまづいたり反対されたりするのかもしれませんね。
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