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2005年12月30日 (金)

合併のメリット・デメリット

 中央大学教授の佐々木信夫氏は、その著書「地方は変われるか~ポスト市町村合併」(ちくま新書)の中で、合併のメリット・デメリットを次のように書いています。
合併のメリット
①合併により首長、議会という政治機能を統合し、一つに絞ることができる。
②区境いなどの住民の不便を解消し、行政サービスの向上を図ることができる。
③広域的な観点から一体的なまちづくり、地域整備が可能となる。
④施設整備など重複行政を省き、主要プロジェクトなどに重点投資ができる。
⑤地域の拡大や新名称、新規事業などでイメージアップを図ることができる。
⑥サイフや計画を一つにし、職員体制の充実で自治体経営の基盤強化ができる。
合併のデメリット
①区域の拡大、議員数削減で、住民の声が反映されにくくなる。
②旧市町村の制度の違いなどから行政サービスの低下や住民の負担増が生まれる。
③中心地ばかりが重視され、周辺地域(農村等)が取り残される。
④地域の特性や歴史が失われ、住民のコミュニティ活動が萎える。
⑤地域間の内部抗争が絶えず、合併のしこりが長く続く。
⑥結局、旧市町村単位で施設整備が行われるなど、たらい回し現象が生まれる。

 そして、「メリットとされる地域の一体的整備とか、投資の効率化・重点化、行財政基盤の強化などという話は、総じて地方自治の「団体自治」を重視する視点からの主張である。デメリットとされる政治代表度の低下とか、地域の歴史・個性の喪失、周辺地域の地盤沈下などという話は、総じて「住民自治」を重視する視点からの主張だ。合併賛成派は前者の視点を強調し、合併反対派は後者の視点を強調する。じつは各地での賛成、反対論争はこのすれ違い論争の構図となっている」と、見事に指摘されています。 
 津地区の場合は、こういう意見の対立は(少なくとも表面的には)あまりなかったようなので関係ない話のようですが、未だに一般市民の間に白けた雰囲気が漂い、盛り上がらないのは、このようなメリットが実感できない、デメリットばかりが感じられてしまうという意識があるからではないでしょうか。

2005年12月20日 (火)

合併は千載一遇の大チャンス!

  「こんな大合併は、無難に合併するだけで大変なんだよ」「今まで違う役所で働いていた職員が突然一緒になるんだから、まずは融和、まずは態勢づくりが最優先だよ」……ごもっともです。その通りです。ですが、ですが、だからと言って、何事も起きないように無難に最初の1~2年を過ごした方がいいという考え方には大反対です。断固反対!
 いいですか?新設合併は、本当に文字通り「ゼロからのスタート」なんですよ。と言うことは、思い切ったことができるということなんです。過去から「不連続」なことができるってことなんです。
 国でも地方でも基本的には同じですが、行政組織ってところは、みずから変わる、自分を思い切って改革するということがとても苦手です。個人個人は「変わらなきゃ」って痛感していますし、そういう声はよく聞きます。個人の意識にかかわらず、組織となると大胆な自己改革は本当に難しい。特に失うものが多いほど、とことん(能力の限りを尽くして)抵抗してしまうのは、そういうDNAがあって、もはや本能なのではないかと思います。
 そして今や時代は、本格的な地方分権の時代、超高齢少子化の時代、そして、人口減少の時代に入っています。今までのやり方を全部捨ててゼロから再構築することができたら、私は、その過程がいくらしんどくても、21世紀を元気に健康で突っ走っていけるんじゃないかと思います。その改革、手術を今怠れば、どうなるか?しばらくは何とかなるでしょう。手術した人より元気かもしれませんね。でも、早晩病魔が暴れ出し、手遅れになってしまう可能性があります。
  言いたいことを整理します。地方分権や人口減少という歴史的転換点だからこそ、この新設合併「=ゼロからのスタート」という絶好の機会を逃すことなく、新しい方向に舵を切って、踏み出していくべきだと考えます。
 ただし、重要なことを付け加えなければなりません。新生・津市がどっちの方向を目指すべきなのか、どういう考え方を大切にして進んでいくべきなのか、そういうことを明らかにしなければいけないってことです。もし、それをはっきりさせなければ、つまり海図を持たずに大海に漕ぎ出してしまえば、もっとずっと悲惨な行く末が待ち受けているでしょうね。ですから、新市の舵取りは、ものすごく重要であり、責任が重いと思うのです。舵取りの最高責任者は「市長」ということになりますから、そういう判断力と指導力、統率力を持った「市長」を選ばなければならないと思います。「なんとなく」とか「消去法で」というような選び方はしない方がいいと思います。

新生・津市の組織を見る

 津市役所の行政組織機構は既に決まっています。おそらく、特に本庁組織については、現在の津市をベースにして作られたのでしょう。バランスよく組み立てられたという印象を受けました。多彩な人材が適材適所に配置され、立派に仕事をしてくれることを期待したいと思います。
http://www.tsu-gappei.jp/jokyo/dai40kai/k130.pdf
 組織図だけを見ただけで、無責任に良い悪いは言えませんが、若干感じることがありました。非常に伝統的な構成になっているように見受けられます。うがった見方をすると「縦割り」の価値観が残されているようにも見えますし、機動性、柔軟性という面で大丈夫なのかなあ、と思われました。
 最近特にそうなのですが、環境問題にしても、高齢化問題にしても、安全・安心の問題にしても、従来の固定的な発想や取組みでは十分に解決できない難しい問題、新しい問題がいっぱい出てきています。私の専門であるまちづくり分野でも、中心市街地活性化、つまり「街なか再生」は商工部門だけでなく都市計画や住宅、福祉など幅広い部門が連携協力しなければ有効に取り組めないことが明らかになってきています。また、建築物やまちの安全性については、スピード感を持って新しいアイデアをすぐに実行に移していかなければなりません。そういう問題意識でもう一度組織図を眺めてみたら、皆さんも同じような懸念を感じるのではないでしょうか。
 もう一つは、市長の方針の反映という点です。新市の市長がまだ存在しないわけですから、その新市長がどの政策に力を入れて取り組みたいのか、その方針、その意志が組織体制に反映されていないのはやむを得ません。言い換えれば、新しい市長が決まれば、その指導内容を最も効率よく執行していけるような組織体制にアレンジしておくことになるのでしょう。そうでなければ困りますよね。ただし、念のため申しますが、いったん決めた組織体制ですから、まずは動かしてみるということが大事であって、性急にいじるべきではない、と私も思っています。

新市まちづくり計画を見てみよう!

 「新市まちづくり計画」とは、合併によって誕生する新しいまちの「マスタープラン」です。この計画に基づいて様々な財政的措置が講じられますから、非常に重要なものと位置づけられています。
 そんなに重要なものなら、市民としても一度は読まないといけませんね。
合併協議会に提出された正式版はコレ(54ページもの大作です)
http://www.tsu-gappei.jp/kyotei/k91.pdf
カラー版で分かりやすくしたものはコレ
http://www.tsu-gappei.jp/matikei-honsatu/mati-keikau.html
そのまた概要版(これもカラーで16ページ)
http://www.tsu-gappei.jp/mti-gaiyobann.pdf
最後は「小学生版」。これならたった2ページ!
http://www.tsu-gappei.jp/syougakusei.pdf
 「読みましょう!」とは言ったものの、読むには大変骨が折れます。しかも決して面白い読み物でもありません。
 本当は読んで頂いてから感想を交換したいところですが、先に私の率直な感想を言ってしまえば、「どんなまちにしていこうとしているのか」ということが、読み取れないって気がします。
 確かに、新市として行うべき事務事業は網羅的に書かれてます。「書いてあるだけ」なんて言ったら失礼かもしれませんが、基本理念や新市の将来像から希望に満ちた思いや決意があまり伝わってきません。「津市」という固有名詞を伏せてみても、「これは津市のことだ、津市の将来像だ」という実感が沸かないのです。
 具体的に紹介しましょう。将来像は「環境と共生し、心豊かで元気あふれる美しい県都」、そして基本理念は「環境と共生した暮らしやすい都市の実現」などの4項目です。もちろん、津市にしか当てはまらない表現を作るなんて現実的ではないかもしれません。でも、あまりに当たり障りのないフレーズで、心に響いてこないなあ……。
 一つひとつの施策についても、漏れのないようには書いてありますが、表情のない顔が並んでいるようです。津市としてはどこに重点を置くのか、どのように実施していきたいのか、そういう担当者の意気込みのようなものはなかったのでしょうか。書けなかったのでしょうか。
 「新市建設計画はこんなものだよ」「法定計画は堅実に書くべきものだから」……作成担当者からはこんな反論を頂きそうです。大変ご苦労されたであろうに、悪口、批判をして申し訳ありません。でも、少し聞いて下さい。私は他の合併市の建設計画を幾つか読み比べてみました。都市の規模、合併のタイプなど、同じ土俵で比べられる市は実はあまりたくさんありません。読んだのは4つです。確かに、意気込みの感じられないものが多いでした。その意味では、津市の建設計画は特別に出来が悪いわけではなさそうです。
 でも、一つだけ魅力的な例を見つけましたよ。「21世紀 出雲の國つくり計画」。島根県の出雲地区合併協議会の作ったものです。出雲市を含む2市2町が合併しています。出雲の國つくり計画のどこが素晴らしいのか?それは、基本理念にせよ、重点プロジェクトにせよ、地域別整備の方針にせよ、出雲らしさがにじみ出ています。また、個々の施策がよく練られており、しっかりと書き込まれています。分量はあまり厚くありません。資料編を含めて48ページですから、津市のそれよりもやや少なめです。優秀なコンサルタントがついたのかもしれませんが、担当者の意気込みや思い入れがよく伝わってくる「作品」だと思いました。
下記をクリックすると見ることができます。是非、一度見てみて下さい。
http://www.city.izumo.shimane.jp/gappei/10-2.html

合併協議会で決まったこと

 市町村合併をする場合、法律に基づく「合併協議会」を設置して、合併に関する基本計画を作ったり、様々な協議を行うことになっています。それが、スムーズに合併するためのルールなんですね。
 津地区の場合、平成15年1月に「津地区合併協議会」が設立されました。全市町村の首長と議会の代表者、そして学識経験者で構成されますが、実に精力的に協議が行われました。その回数が3年弱でなんと44回!。月に1回以上のペースですが、その陰には幹事会や、専門部会、分科会があり、担当者レベルの打合せまで含めると膨大な回数の会議が積み重ねられています。それもそのはず、協議した事項は「合併の方式」「合併の期日」「新市の名称」などの最重要事項、そして新市のまちづくりの基本的方向を示すビジョンである「市町村建設計画」(津市の場合は「新市まちづくり計画」と言っています)のほか、数十項目にわたっています。これまで10市町村が実施してきた約2,700項目の事務事業の取扱いが協議されたとのこと。新設合併というのは、本当にあらゆることについてゼロから決めなければならず、気が遠くなるような作業だったと思います。こういう話を聞くだけで疲れてしまいますね。関係者の皆さん、本当にお疲れ様でした。
 経緯やデータがHPに掲載されていますから、皆さんも一度覗いてみると、大変さが実感できると思いますよ。
http://www.tsu-gappei.jp/kyotei/kyotei.html

新生・津市の合併はこう見よう

 合併には「新設合併(対等合併)」と「編入合併(吸収合併)」があります。編入合併では吸収する方が残りますが、新設合併では、合併前の市町村は法人格も名前も首長も議員もいったん消滅し、新しい市町村ができるという、大きな違いがあります。ちなみに「津市」の場合は、新設合併です。ですから、合併前の「津市」と合併後の「津市」は、名前は同じでも、まったく違うものなんですね。ちなみに、平成の市町村合併においては、全体の3/4が新設合併です(平成11年度以降)。
 「津市」は10市町村の合併ですが、これは、一度に合併する市町村の数としては全国最多です。全国一なんですよ!しかも、市を二つ含むケースというもの案外珍しくて、全国でたった11例しかありません。類似のケースでは、新潟県の長岡市が、市町村数でも人口でもほぼ同規模ですが、二段階に分けた、しかも吸収合併ですので、対応合併に限ってみれば、「津市」は飛び抜けて「すごい!」と言える事例です。
 このように、津地区の合併というのは、実は全国でも代表的な事例なんですよ。日本中から注目されていますから、ぜひ立派な合併にしたいものです。

市町村合併

 現在、「平成の大合併」が積極的に進められています。平成16年には3,100あった市町村も、平成18年3月には1,800余となる見込みです。目標は1,000ですから、今はまだ「道半ば」なんですね。
 そもそも、市町村合併は、市町村の行財政基盤を強化して、住民に身近な市町村がより充実したサービスを提供し、住みやすいまちづくりを展開していくことが狙いです。ということは、単に規模が大きくなればよいということではありません。責任が今までよりずっと大きくなりますし、より重要な役割を果たしていかなければならないわけですね。本格的な地方分権の時代ですから、役所にお任せではなくて、住民も様々な形で考え、関わり、貢献していく必要があると思います。