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2006年11月11日 (土)

松沢知事の「神奈川ふれあいミーティング」

 神奈川県松沢成文知事は、平成15年4月、初めての本格的なマニフェストを掲げて選挙戦を勝ち抜き、知事に就任しました。これまで何度か講演を聞く機会がありましたが、弁舌爽やかで分かりやすい語り口で政治哲学や具体的な政策について語られており、親しみや期待感を感じさせ、いい印象を受けます。県議会とは対立することも多くて議会運営には苦労されているようですが、県民からはかなり幅広い支持を得ているようです。最近では福島県や和歌山県の知事が不祥事で退任するなど「改革派」という看板にケチがついていますが、松沢知事はかなり詳しいマニフェストを作成し、就任後は着実にその実行に取り組み、順調に成果を挙げている点で、イメージ先行ではない「本物」の改革派知事だという感じがしています。
 先日、川崎市内で「知事と語ろう!神奈川ふれあいミーティング」という催しがあり、仕事帰りに出かけてみました。到着が遅れたため後半しか出られませんでしたが、小一時間の間、会場の参加者からの質問に丁寧に回答する様子を拝見しました。
 就任して3年半、精力的に県内を走り回り、多くの県民と会話をしていることもあって、現場の事情をかなり詳しく知っており、政策面でも制度や課題や個別事業のことが相当頭に入っているようです。従って、質問への受け答えも、よどみなく、話題や情報が実に豊富で、感心してしまいました。脂がのっているというか、「今が旬」というか、そんな感じでした。
 松沢知事は「現地現場主義」がモットーだそうで、県庁の知事室に留まることなくできる限り県政の「現場」へ出向き、現実の課題に接し、県民の方々と対話をし情報交換をしているとのこと。約1000日の間に県内を13万km走り回ったそうで、そのままタイトルになった「知事檄走13万km!現地現場主義―対話から政策へ―」という本が出版されています(㈱ぎょうせい刊、1,600円)。この日のミーティングの締めの挨拶で「こんなにたくさん現場で出掛け県民と話し合っている知事なんて全国どこにもいないだろう。エアコンの効いた知事室で部長・課長の報告を聞いている方が楽だけど、現場に行かなければ本当の実態は分からないし、本当に必要な役に立つ政策は作れない」と力説していました。そのとおりだろうと思いますが、市町村長ならともかく県知事でその姿勢を貫くことは大変なことだろうと思います。
 もう一つ感じたことが、知事のリーダーシップとその「有期限性」です。既に述べたように、松沢知事は、県下を走り回って様々な情報や素材を吸収し、また勉強もし、人脈も豊富になり、それらを活かして柔軟な発想で新しい施策を生み出し、推進しています。就任時に比べればおそらく益々その能力やスピードは向上していることと思います。そして、1期目の後半にして既に十分「」に入っているようです。このまま更に活躍して欲しいものだと思いますが、その一方で「多選の問題」もあり、2期なら8年、3期なら12年、いつかは期限が来て退任することになります。この知事のリーダーシップのもとで多くの県民、機関、職員が走り出して調子が出てきても、選挙を期に知事一人が交替することで、その大勢の動きが白紙に帰してしまうかもしれません。もし全然違うタイプの人が次の知事になったら、大ブレーキ、大混乱になるかもしれません。それも含めて有権者が選択することだ、と言ってしまえばそのとおりですが、その「不連続性」は、メリットよりもデメリットも方が多いように思われます。断っておきますが、これは現職が素晴らしい知事だとした場合の意見であって、そうでなければ「早く変わった方がいい」ということになるかもしれません。
 このような認識に基づいて考えると、少なくとも選ばれた首長はできるだけ早い段階から軽快に走り出すべきであって、「1期目は勉強」「住民の意見を聞きながら考えていく」などと言いながら何年も怠けるようなことがあってはいけないと思います。そして、そもそも選ぶ際には、できるだけ明確なビジョンと豊富な政策を持った人をこそ選ばなければならないと痛感します。ろくなビジョンも政策も持たない人が当選し、仕事をしない(成果を上げない)なら、県民・市民にとって不利益きわまりない。これからは本格的な地方分権の時代であり、主体的な地方自治を推進していかなければならないわけですから、なおさらです。
 タウンミーティングとは関係ないのに、松沢知事の話を聞きながら、そんなことを考えてしまった夕べでした。