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2008年4月10日 (木)

町田市ごみゼロ市民会議が「報告書」を取りまとめました

 町田市が設置した「町田市ごみゼロ市民会議」では、公募で参加した市民百数十人が熱心な議論を重ね、「ごみゼロに向けたごみの減量・資源化の方策」についての検討を重ねました。参加した市民委員は総勢134名にものぼり、会議は平成18年10月から十数回も開催されました。
 私がこの市民会議のことを知ったのは平成19年夏のことで、8月25日の第12回市民会議を初めて傍聴し、その熱意溢れる議論に感激した模様をこのブログでも以前、ご報告しています。
http://suguri-tsu.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/index.html
 その8月の全体会議で、本来なら報告書を取りまとめて終わるはずだったようですが、市民会議の主要な活動の一つである「生ゴミ処理の実証実験」が遅れたため、11月17日に最終報告会が再セットされたのでした。これは逃すわけにいかない!ということで、11月17日の会議を傍聴してきました(この日は、魅力的なセミナーやイベントが5つ6つ重なり、もったいなかったですが、どれよりもこの町田市ごみゼロ市民会議の最終回を最優先して傍聴してきました)。
 もめる?要素の実証実験も既に無事終わっていたので、この日は各部会・チームから報告が行われ、報告書を全体会で了承し、市長に手交するというシナリオとなっていました。
 前半の第1部は「全体会」です。まず事務局からの報告ということで、代表から「平成18年10月7日に発足し、1年間活動してきたが、130名の市民と5名のアドバイザーが熱心に取り組んできた。行政の協力にも感謝。市長が掲げた理念に基づき、13のグループを立ち上げ、1年間で延べ80回の会合を開催した。6項目の提言をまとめることができた。個性や主張がぶつかり合い、合意に時間がかかったが、次第に共通の認識を持つようになった。持続性には、主張と譲歩のバランスが必要なことを学んだ。」という話がありました。このスピーチには、市民会議の活動結果がわかりやすくコンパクトに表現されているように感じました。
 編集会議からは、会報である「ごみゼロの風」第4号の発行計画について、「座談会を実施し、その結果を掲載したい。12月21日号として発行したい」という説明がありました。この日は、資料が未完成だったため、委員にだけ配布ということで、我々傍聴人には頂けませんでした。後日、HPにアップするそうです。報告を了承して、全体会は終わりました。
 後半は「報告会」と称して、市長も出席しました。まず、部会長・分科会長がそれぞれの活動成果を報告しましたが、その部会・分科会の報告を幾つか紹介します。
○生ゴミ部会長の報告
 部会メンバーの情熱はすごいエネルギーだった。実験への参加をお願いした集合住宅では30~50世帯がOKしてくれなかった。今の生ゴミ処理に不都合を感じていないからだろう。ここにいる人は非常に意識が高いが、全市民となるとそういうわけではない。我々は反古にされてきた歴史を持っている。この提言・報告が反古にならないように!
○家庭での生ごみ堆肥化普及・啓発推進分科会の報告
 生ゴミ堆肥化の難しさと大切さを痛感した。会場にいる人で、家庭で生ゴミ処理をしている人は?(あれ、市長さんは!?(会場笑))。私たちがいくら頑張っても、関心を持たない人がいるんです!70歳以上のゴミ袋無料配布をやめて下さい、市長!
○地域一括による戸建て家庭での生ゴミ処理・回収回数減実験分科会の報告
 510世帯に協力してもらった(電動が506世帯、堆肥容器が6世帯)。56日間、実験を行い、アンケートを実施したが、アンケートは100%回収した。100%回収なんて、皆さんの熱意はすごいと思う。実験に参加した世帯の93%が実験を続けたいと言っている。取り組みが家庭全体に広がりつつある。
 この実験は計画より3ヶ月遅れたが、誰がサボったわけではなく、組織が悪かったんだと思う。

○地域一括による集合住宅での生ごみ処理・回収回数減実験分科会の報告
 集合住宅での実験は、棟単位に1台置き、ごみはいつでも入れられることとし、1週間に1度、一次生成分を処分する。生ごみが分別されると乾いたごみだけになり、週1回の回収で済むようになる。こういうことが可能かどうか検証した。
 参加団地を募集して1ヶ月は応募がなかった(問い合わせは数件あり、説明会に何回も行ったが、合意形成に至らなかった)が、ようやく小山田団地の賃貸住宅棟が参加してくれることになった。
 参加住棟が決まると次は家主との折衝。結局、ゴミステーションごとに6台置くこととなった。11/1にそれが決まってからの製作発注なので、実証実験はずいぶん先になってしまう。
 このような取り組みから分かってきたこととしては、現在の「燃やすゴミ処理方法」に市民が慣れきっていて、手間がかからないため、面倒なことはやめておくべきという声が多く、合意が得られなかった。市への提案だが、危機意識が薄い状況では、市が積極的に動くことが大事である。

○廃プラスチック部会からの報告
 全般的に、プラスチックへの関心が低かった。例えば、プラスチックごみ専門のアドバイザーがメンバーに入っていないし、市の予算も生ごみばかりだ。
○排出抑制の実験研究分科会
 私たち市民ができるところからやろう!が結論。ごみになるものをなるべく買わない、もらわない。その象徴がレジ袋。意思表示カードも作った。小学生42%が行動した。ポスターも作った。しかし、市を挙げて、というものがないと盛り上げにくい。
 資源回収ボックスにいろんなものを入れてしまうと資源にならない。つまり、市民のモラルが大事。回収業者も、市から頼まれてイヤイヤやっている。三者協議会をやって、レジ袋の有料化に取り組んでいきたい。

 このような部会・分科会からの報告のあと、報告書が市長に手渡されました。そして、石坂市長の挨拶です。
「この市民会議は、当初50人を募集したが、120人くらい応募があり、事務局は抽選にしようと言ったが、全員参加にしてもらった。「行動する市民会議」だから、人数は多い方が便利。私が提唱する4つの都市像のうち、「環境先進都市」「市民協働都市」の象徴である。体で表現し、言葉で表現するのがこの市民会議。委員が行動するだけでなく、委員以外の市民に動いてもらえるかどうかがポイントだと思う。この取り組み、成果をとぎれさせないよう取り組む決意である。」
 参加者が熱く見守るなかの挨拶だったわけですが、大切な喋りだしが声が小さく暗かったし、堅くて小難しい内容だったし、手元の資料を見すぎていたのは、余計なお世話ですが、マイナスだったなあと感じました。横浜市の職員出身だからか、役人的な雰囲気が残っている印象がしました。また、せっかくいいことを言ってるのに、その大事なことが埋没してしまっていたので、もう少し、言葉を厳選した方がよかったとも感じました。
 最後に出席したアドバイザーからのコメントがありました。その中の一人、NPO地域総合研究所顧問の森戸哲氏がこんなことを言われました。
役所は書いてあることしかやらない。書いてあることでもやらない。市長は経営者の立場で取り組んでほしい。高齢者向けの無料ゴミ袋などは、ダイエットしている人の前にケーキを出すようなものだ」。

 以上のような、熱く、充実した最終全体会議で幕を閉じ、町田市ごみゼロ市民会議の手によって報告「~もったいない精神で「ごみゼロまちだ」をつくろう~」が取りまとめられました。
 報告の中身である6つの提言を最後に紹介したいと思います。

1.家庭生ごみの全量資源化を計画的に進める
2.プラスチックごみの減量、資源化は、できることから始める
3.発想の転換で、資源化の新しい広場・しくみをつくる
4.まず「ごみゼロ市役所」を実現する
5.見て、触れて、感じる環境教育を実践する
6.市民が市民に話しかける「ごみゼロの風」を継続する

 この6項目の内容は、もう少し詳しく解説が付け加えられています。いずれも内容は具体的で明解です。役所の作文に見られるような、おざなり、あいまい、意味不明瞭なものは一つもありません。それが当然なんですが。

 私が観察できたのは最後の取りまとめ段階でしたが、主体的積極的な市民参加の素晴らしい事例を見せていただくことができて、大変参考になりました。この「計画策定段階」での市民参加が、「政策・施策の立案段階」そして「実践段階」につながっていき、最終的に「成果」が十分に出て、市民生活や行政の改善をもたらすかどうか、引き続き関心を持って見守っていきたいと思います。

2007年8月30日 (木)

町田市ごみゼロ市民会議を傍聴して

 近場の自治体のHPをあちこち見ていたところ、町田市のホームページに「公開を予定している会議の日程一覧」というコーナーがあり(こういう情報発信をしているのは珍しいですが、いい姿勢だと思います)、その中で面白そうなものを探したところ「ごみゼロ市民会議」というものを見つけました。市民主体で運営される会議のようであり、ごみ問題という市民生活に密着する問題に対して市民がどのように取り組んでいるのか興味を持ちました。
 まず、「ごみゼロ市民会議」の背景などを簡単に説明します。
 平成18年3月に新たに町田市長に就任した石阪丈一市長は、6月の定例市議会での姿勢方針において、次のように述べています。
ごみ問題も、より良い環境を次世代に引き継ぐためにたいへん重要な課題であります。ごみは、人が生活することで発生します。しかし、ごみは資源化することでごみではなくなります。我々の生活に大きな利便を与えてくれるプラスチックの処理問題を含め、究極の目標である『ごみゼロ』を目指し、市民の主体的な参加を得て、生活者の知恵を集め、これまでの資源化に加えて生ごみの堆肥化への取り組みなどを、市民と一丸となって進めてまいります。
 広報まちだの平成18年7月11日号で、「ごみゼロ市民会議委員の募集」が行われました。募集内容はこのようなものです。
  対  象:市内在住で18歳以上の方で、ごみゼロに向けたごみの減量・資源化に関心があり、検討された方策を自ら地域で積極的に実践していただける方
  募集人員:50人程度(応募多数の場合は抽選となる場合があります)
  活動内容:ごみゼロに向けたごみの減量・資源化の方策を委員相互で話し合いながら検討し策定します。会議は月1回程度、土・日曜日などの開催を予定しています。
  委嘱期間:2006年9月から2007年8月までの予定
  謝  礼:1回につき2000円

 また、「町田市ごみゼロ市民会議設置要綱」を見ると、「第2 所掌事項」に次のように書かれています。
   市民会議は、次に掲げる事項について調査、検討し、その結果を市長に報告する。
  (1)ごみの発生抑制に関すること。
  (2)ごみの分別の徹底に関すること。
  (3)プラスチックの分別収集及び再資源化に関すること。
  (4)前各号に掲げるもののほか、第1に規定する目的を達成するために必要な事項

 さて、第1回の市民会議は平成18年10月7日に開催されました。委員は予定人数を大幅に超える応募者全員を委員に任命したため、その人数は134名となりました。その構成は、男性が63%、女性が37%、平均年齢は61歳、最年少・最高齢は、男性が30~80歳、女性が22~75歳となっています。その他、アドバイザーが5名、事務局以外に20名の職員がサポーターとして参加し、市民と共に働くことになっています。
 さて、改めて言うまでもなく「ごみ」は日常生活に最も関係の深い存在であり、その「減量・資源化」は極めて切実な問題です。おそらく多くの市民が強い関心を持ち、意見を持ち、実践をしていることと思います。その関心の強さが既に応募人数に現れているようにも思われますが、同じ市民参加でも「総合計画」や「自治基本条例」よりずっと熱心に行われたのではないかと思います。そういう意味でも、この市民会議の様子や成果には強い関心を持って注目してみたいと思いました。
 第1回以降の開催状況を見ますと、平成19年7月までの9ヶ月に計11回の全体会が開催されています。当初はごみの現状、ゴミ処理の現状を勉強しつつ、フリーディスカッションを行いながら、討議・検討の進め方を議論しました。第4回全体会から「分科会」の設置が議論の俎上に上り、第5回に決定、第6回には暫定の進行管理会議が姿を現し、第7回に代表、副代表の選出を行っています。組織や体制が固まるのが非常に遅いような印象を受けますが、(市主導であれば早く決められるかもしれませんが)公募で集まった百数十人の市民が白紙の状態から議論を始めれば、これだけ回数を要したことはやむを得ないのでしょう。いや、むしろ、着実に組織・体制が整備されていったことは素晴らしいことなのかもしれません。なお、代表、副代表の選出もメンバー間の選挙で行われており、代表には2名の立候補があって現在の代表が選ばれています。このようなプロセスで代表・副代表を選出したこともある意味で驚きです(世の中では、事務局が調整して事前に候補者を内定し、根回しをして、本番では円満に選出される形をとることが多い中で)。その後は主に分科会で実質的な議論を行い、進行管理会議で全体を調整するというスタイルで検討が進められました。なお、検討体制の全体像は、生ゴミ、廃プラスチック、その他の資源拡大という3つの部会と、そのもとでの11の分科会と、広報・環境教育とごみゼロ市役所推進支援という2つのプロジェクトチームで構成されています。非常に大きな組織となっており、それが円滑に運営されて成果が出るならば、これまた驚くべきことだと思います。
 さて、平成19年8月25日に開催された「第12回全体会議」は、当初「報告発表会」として開催案内がされていたものですが、生ゴミ処理の実証実験の段取りが遅れたため、通常の全体会となったものです。最終報告会は、実証実験が終了した後の11月17日に再セットされることとなり、市民会議の活動は、事実上、生ゴミ処理の実証実験関係以外は終了だそうです。
 この日は、市民会議の報告書(市長への提言を含む)の案が提示され、それが丁寧に吟味、意見交換されました。会場となった町田市教育センターの大会議室には100席ほどの椅子が用意されていましたが、立ち見が出るほどの大盛況でした。会議が始まる前からあちこちで交わされた立ち話、ひそひそ話を聞いていると、各委員(特に女性)は非常に熱心であり、問題意識は高く様々な実践を行っていることがひしひしと伝わってきました。
 会議が始まり、各部会等からの報告を受けて全体の報告書の取りまとめを担っている「編集会議」から報告書案の説明(朗読)がありました。報告書は「はじめに」、「提言」、「分科会等の活動報告」、「むすび」で構成され、分科会等の活動報告は20ページほどありますが、それ以外は全部でたった5ページと非常にコンパクトです。それを一つひとつ議題にして討論が行われ、2時間に渡って熱い議論が交わされました。原案への修正意見もあれば、委員の発言に対する反論などもあり、どきどきするほどの緊迫感でした。また、出された意見に対して広瀬代表が直接受け答えたり、各分科会の責任者やメンバーに回答を割り振りましたが、その的確で絶妙な対応は見事でした。発言を求めて挙手する委員に対してすべて名前を言いながら指名し、発言内容をしっかりと受け止めるとともに、それが編集会議や分科会でどのように議論されたものか完璧に把握しているようなコメントも効果的であり、その対応は素晴らしいとしか言いようがありませんでした。また、回答・説明する各責任者やメンバーも、例外なく、しっかりとした理解と認識に基づき、冷静で的確な発言をするのにも驚きました。本来業務としてプロの仕事をしている行政の担当部局でもこんなに見事な受け答えは無理ではないかと思われました。会場からの発言の中には、他の委員の意見に対する厳しい反論や批判もあり、緊迫した空気になるのではないかと危惧するような瞬間もありましたが、既にこれまでに十分議論してこなれているのか、お互いの言い分に対する理解が深まっているのか、「大人」の討論で終始したことにも驚きました。このように、フラットな関係のもと、自由闊達で伸び伸びした、意義ある意見の交換がどんどん続く会議というものは、未だかつて見たことはありませんでした。ある意味で「成熟した民主主義」を垣間見たような印象を受け、ひとり感動してしまいました。
 とても素晴らしいものを見せて頂いた(しかも、何と無料で)、という感謝の気持ちでいっぱいでしたが、それでも、冷静に観察すれば、議論の素晴らしさと同じように報告書も素晴らしく、完璧だというわけではありません。私から見ても不十分な点、直した方がよいと思われる点は気がつきます。それを考えると、市民が積極的に参加していない、熱心でない議論による成果物が、いかに中身の乏しい有益でないものであるか、容易に想像がつくというものです。行政が、形ばかりのおざなりの(偽装)市民参加を仕立て上げ、計画や報告書を作るケースはまだたまに見かけます。ソレと町田市のこの市民会議とは、本当に「月とすっぽん」です。町田市のごみゼロの検討結果でも実際には十分な成果に結びつかないとすれば、おざなりの市民参加による成果物の行く先が如何に絶望的か、火を見るより明らかです。それをよ~く認識して、行政もちゃんとしなければなりませんが、市民は自ら本気で市政に参加して、その歩みを刻んでいかなければなりません。そのことを深く再認識した、有意義な一日でした。
 なお、11月17日の最終報告会、そして、その後の展開を注意深く見守っていきたいと思います。身近にこんな素晴らしい研究対象がまた一つ増えたことを嬉しく思っています。

2006年9月26日 (火)

寄附による投票条例、ふるさと寄附条例について

 自治体が政策メニューを提示して寄附を募り、そのメニューの中から寄附者が選択し、寄付を行うという、新たな住民参加型の自治のかたちをご存じでしょうか。地域づくりへの参加手法として寄付金を用い、広く地域外の人にも地域内事業に関与させる仕組みとなっている点が特徴です。選挙に例えて「寄付による投票」と呼ばれています。
  まだ歴史は浅く、現在11の自治体で条例が制定されているに過ぎません。第1号は長野県泰阜村(やすおかむら)で平成16年6月、第2号は北海道ニセコ町で平成16年9月の制定です。
 第1号の泰阜村はマスコミで随分取り上げられたようですが、平成16年度に920万円、平成17年度に591万円、計1,511万円もの寄付が集まっています。面白いのは、村外からの寄付が、金額ベースで39%、件数ベースで48%も占めていることです。村外の人は寄付のメリットを直接受けないと思われますが、精神的な満足感や泰阜村を応援したいという気持ちの表れなんでしょうか。
 泰阜村での政策メニューは「学校美術館の維持・保全」「福祉・健康の村づくり」「森林整備・自然エネルギーの活用」の3つであり、寄付目標額はそれぞれ1,000万、500万、1,000万円となっています。一口5,000円を基本とすることとしています。
 この寄付には税制上の優遇措置があり、所得税では5,000円超、住民税では10万円超の寄付について、必要経費として所得控除の対象となり、税率に応じて税金が戻ってきます。ただ、寄付金の全額が減税されるわけではないので、「納税の代わりに寄付する」という形とは言えません。 昨日の9月25日、都内で開催されたセミナーで、この「寄付による投票条例」の講演を聴いてきました。講師は、(NPO)寄付市場創造協会会長の渡辺清氏。渡辺氏は、全国の自治体に対して「寄付による投票条例」をつくるよう呼び掛けており、アドバイスも行っています。11の策定例はいずれも渡辺氏が働き掛けたりアドバイスしたものだそうです。協会会長と言っても、実際は一人で雑務など一切合切をこなしているNPOだそうですし、業務として採算が取れているどころか収益性がほとんどないようなので、こう言っては失礼かもしれませんが、そう大したNPOではなさそうです。条例制定のどの自治体にも行ったことがないし、寄付した人の声を直接聞いたこともないとのことでしたから、一体どれだけ関与しているのか訝しく思われました。
 この寄付制度、もちろんわが国では普及度が非常に低いとは言え、住民参加の新しい形としてユニークであり将来性・可能性が大いにあると思われるので、大いに関心を持たれ、普及していっておかしくない制度だと思います。
 今後この制度が普及・発展するためには、寄付する人が関心を持ち、メリットを実感することが重要だと思われます。メリットと言っても、金銭的なフィードバックは期待できませんので、「寄付したことの精神的な満足感」か「寄付によってなされた成果の恩恵を受けること」が必要です。精神的な満足感を実現することは難しいですが、例えば、寄付の対象となった施設のどこかに名前を掲示するとか、感謝状を贈呈するといったことが考えられます。成果の恩恵というのは、自分たちも使いたい施設の整備に寄付をして応援し、早くいい施設の整備を実現して大いに利用するという形です。まだまだ、研究・工夫の余地がありそうです。ただし、優遇税制を拡大し、寄付金の金額がまるまる税の軽減になれば、同じ金額を税金で納めるか寄付先を選択して寄付金の形で納めるか、各個人が主体的に選べることになります。これは、金銭的にも大きな話ですが、主体的な市民参加の具体的な形として非常に意義があると思われますので、何とか実現していってもらいたいものだと思います。
 もうひとつは、自治体にとってこの制度の活動はあまりに馴染みが薄く、必要性、必然性の認識も希薄だと思われるので、職員から見れば余計な仕事、無理にやらなくてもよい仕事と映るかもしれません。首長が飛びついて「やるぞ!」と決断すれば話は早いのですが、自然体では、職員からやる気を出すことは期待しにくいでしょう。その壁を越えるためには、取り組みやすい環境を作り、やる気を刺激することが必要であり、例えば、策定マニュアル、成功事例集、そして「標準条例案」(いわゆる「ひな形」)などを作って配布し、説明会を開催することなどが考えられます。
 また、制度のあり方、思念や哲学を根本から研究するとか、発展させるための学術的な研究とか、学者の研究ネタとしても面白い素材だと思います。その辺り、まだあまり取り組まれていないことが不思議と言えば不思議です。
 また、既に条例をつくった自治体はほとんどが地方部の小さい町村ばかりのようなので、例えば津市のような県庁所在都市とか、大都市圏の都市などでこの制度が成功するものなのかどうかについても、研究すべき課題と思われます。
  このように、普及させようとすれば、やるべきことがいろいろありそうですので、関心を持って行きたいと思います。

2006年1月 7日 (土)

「市民議会」というアイデア

 冒頭から悪ふざけだとお叱りを受けそうですが、年男・年女の中から「議員」を選び、「市民議会」を開催するアイデアについて、議論の題材として出してみます。決してふざけたジョークではありません。奇抜かも知れませんが、真面目なアイデアです!

 年男・年女ということは、12才、24才、36才、48才、60才、72才、84才、96才……。幅広い世代がカバーできることになります。12才は中学生になる年ということで、少しアレンジして中学1年生~3年生を対象に「少年世代」とします。24才と36才は「青年世代」として一括り、48才と60才も「壮年世代」として一括り、72才、84才とそれ以上も「高齢世代」として一括りにします。そのような少年、青年、壮年、高齢の4世代ごとに「選挙」で選ばれた「市民議員」で「市民議会」を構成するのです。人数は各世代10名程度までかな?と思います。任期は1年とします。(わざわざ断るのも野暮ですが、これは正式な市議会議員とは違いますよ(^_^)。)
 世代ごとに議論してもいいし、異世代を混ぜてもよい。その市民議会で、市民の目線から、市政や地域のまちづくり、市民の生活向上策などを検討し、議論してもらいます。その成果は「政策提案」として市当局に提出し、市当局はそれを十分に尊重します。尊重するというのは、役所言葉だと「無視する」と同義になってしまう場合もあるので、そうならないようなルールをあらかじめ組み込んでおく必要があります。そして、この政策提案にはその実現のための予算を確保しておき、有益な内容については実際に「事業化」することとします。
 議会と名乗るのですから、政策提案を出す段階で、あるいは検討の途中で、本物の議員さんと議論する機会を設けたりすると、お互いに刺激や勉強になっていいかもしれません。もちろん、市当局(市長や幹部職員)は「市民議会」の場で、質問や提案を受けて、真摯に検討し回答しなければならないことは言うまでもありません。
 一連の活動ややり取りは、当然、全市民やマスコミに公開・公表されます。

 一般的な「市民参加」である、タウンミーティングや市長との懇談会、あるいは各種委員会・審議会への市民側委員とどこが違うのでしょう。まず市民による「選挙」で選ばれるということが大きな特徴のひとつです。そして、活動内容や活動の成果には一定の責任が伴うと同時に、その活動成果が実際に実現・事業化されるという点も大きな特徴になります。かなり本質的に「違う」でしょ。

 実は、このアイデアのモデルになっているのは山形県遊佐町というまちの「少年議会」です。遊佐町の場合は、対象は中高生で、町長と議員が選挙で選ばれます。そして町から示された政策予算(初年度は50万円、次の年度は75万円でした)の使い道について議論をして決めるのです。任期は半年(7月~12月)です。平成15年度にはじまり、すでに3カ年続いています。次の世代を担う若者たちの町への関心を高め、まちづくりへの積極的な参加を促す有効な取組みであると評価されていて、他の自治体も参考にして同様の取組みを始めているところもあるようです。
 大人の視点だけで処理しないで、子どもの視点やアイデア、新鮮で柔軟な発想を生かしていこうという試みは非常に面白いと思います。教育の観点からも評価されることかもしれません。でも、理想を言えば、子どもだけでなく、高齢者、主婦、子育て世代、普通の年代など、様々な視点からの見方が入ると、非常にきめ細やかな行政が推進されるのではないでしょうか。行政当局はそういう全方位的な配慮をすべきとされていますし、議会もすべての市民の利益を代表しているわけですが、必ずしも常に完璧とは言い切れません。素直に「勉強になる」と懐深く受け止めてみた方がベターだと思います。あと、私個人的には、遊佐町のように「町長」や「助役」まで選出する必要はなく、「議会」だけでいいように思います。
 また、市民議会の活動の直接的な成果だけでなく、こういう取組み自体がすべての市民やマスコミに興味を持つ機会を提供し、より積極的な住民参加が誘発されるという副次的な成果も大いに期待できると思います。
 現実的な課題としては、非常に面倒そうなこの企画をどこまで実現化するのか(市当局が人手とお金をどれだけつぎ込めるのか)、市民がどこまで参加してくれるのか、また関心を持ったり盛り立ててくれるのか、「選挙」はどうやって実施するのか、などなどいろいろと出てきます。「出来る範囲でやる、出来るところからやる」という姿勢で、まずはやってみるのがいいと思います。